トークオブワンダー:生き物から学ぶプロポーズ♡

皆さん、こんにちは。
浜松科学館の生き物博士、小粥です。

12月25、26日に「トークオブワンダー」を開催しました。
サイエンスカフェ形式で、専門的な科学の知見を参加者の皆さんへ面白可笑しく話題提供する本企画。
今回のテーマは、クリスマスにちなんで「生き物から学ぶプロポーズ♡」です。

カフェでの開催の様子

クリスマスの夜に恋人同士でイルミネーションを観て、高級レストランでディナー、そして婚約指輪を差し出してプロポーズをする…。
人間は、ただ愛の告白をするだけでなく、成功確率を上げるために様々な工夫をします。
上記の例では、イルミネーションや高級レストランに行くことで場の雰囲気を盛り上げたり、婚約指輪というプレゼントをしたり…、といったことです。
野生動物たちもプロポーズにおいて様々な工夫を凝らします。

例えば、オーストラリアに棲息するアナガエルの仲間のオスは、プロポーズの鳴き声が遠くいるメスにも届くようにある工夫をします。
地面に穴を掘り、作った部屋の中で鳴くことで自身の鳴き声を共鳴させて音を大きくするのです。
しかし、音の高さによって共鳴しやすい部屋の大きさは変わります。
そこで、共鳴する自身の声を聞きながら、最も共鳴しやすくなるように穴を掘ったり埋めたりして部屋の大きさを調整します。
つまりプロポーズのために、自分に合った音響部屋を作るのですね。

イベントでは大きさの異なる3つのビーカーをアナガエルの音響部屋に見立てて実験を行いました。
ある一定の高さの音をスマートフォンから流し、3つのビーカーにスマートフォンを入れて聞こえ方を比較しました。
すると中くらいの大きさのビーカーでだけ音が拡大し、共鳴することが分かりました。

音の響き

他にも、アナガエルとは逆に部屋の大きさに合わせて自身の声の高さをチューニングするボルネオカグヤヒメガエルや、プレゼントの魚を相手が食べやすいように加工するカワセミなど様々な生き物たちのプロポーズやその裏側をご紹介しました。

親子連れをはじめ、女子高生やカップルなど大人の方も多くご参加いただきました。
特に大人の女性の皆さんは話を真剣に聞いてくださり、登場したオスたちの異性への真摯な姿勢に興味を持っていただいたように感じました。

「トークオブワンダー」は今後も不定期で開催する予定です。
また皆さまと科学的な交流の場を持てることを楽しみにしております。


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