浜松科学館ニューズレター「COMPASS」。
第31号の表紙に映るのは、3月20日から開催の春の特別展「ユニバーサル・ミュージアム」の監修を務める、国立民族学博物館 教授の広瀬浩二郎氏と、企画担当者の上野さん、水谷さんです。常設展1階「自然ゾーン」にある、浜松の地形立体模型をみんなで触って体験している場面です。

広瀬氏は日本宗教史や触文化論を専門に研究されている研究者です。13歳の時に失明し、全盲というご自身の生い立ちもあり、「ユニバーサル・ミュージアム」(誰もが楽しめる博物館)の実践的研究に取り組まれており、“触”をテーマとした催しを全国各地で開催されています。

現在※、浜松科学館で開催中の特別展「ユニバーサル・ミュージアム」もその一つです。国立民族学博物館で開催された後、いくつかの博物館・美術館を巡回してきた同名の展示会を、サブタイトル「”みる”がひろがる みらいーら」をつけて浜松科学館用に構成したもので、科学館では全国初の開催となります。
※2026年4月
会場には約50点の「さわれる」アート作品が並び、来場者は作品に手で触れたり、音を聴いたりしながら、全身をとおした鑑賞体験ができます。


ところで、皆さんは「科学館」と聞いて、どんな場所を思い浮かべるでしょうか。浜松科学館には約100点の展示があり、それぞれ体験(実験)しながら科学の原理を体感できる「体験型展示(ハンズオン展示)」と呼ばれるものが数多く揃っています。自ら体を動かし、試行錯誤することで深い理解や発見につながる…そういった意図から取り入れられているのではないでしょうか。

そのような意味で、科学館は日頃から「さわる」機会の多いミュージアムといえますが、「身体感覚としての“さわる”」をじっくり捉えていくことはあまりなかったかもしれません。
一見、科学とは対極にあるように思われがちなアートを通して、科学館が届けられる「さわる」を見つめ直し、来場者の皆さんに、目で見るだけではない多様な感覚を感じていただけばと思います。サブタイトルにつけた「“みる”がひろがる」という言葉にも、その想いを込めました。
上野さん「今回の特別展は“さわる”がテーマです。例えば、最初にさわってもらう石も、全て“すべすべ”ですが、温度はどう?質感は?など同じすべすべでも人によって感じ方も違います。実際にさわらなければわからないもの、さわると分かる仕掛けもあります。そして感覚を研ぎ澄ますといろいろなことがみえてきます。ぜひ、ご来館ください」
水谷さん「来場された皆さん、最初は眺めるだけだったり、暗闇に戸惑っている様子ですが、慣れてくるとそれぞれの触れ方を見つけて、楽しんでいます。ひとりでじっくり触っても良し、ご家族やご友人と一緒に話しながら触っても良し、さまざまな“みる”がひろがる特別展です。」

また今回は地域で多角的に「みる」を捉えることも試みて、周辺の5つの文化施設(浜松市美術館、浜松市博物館、浜松市中央図書館、浜松市鴨江アートセンター、木下惠介記念館)にご協力をいただき、各施設で連携企画を実施しています。
今回の特別展が、あなたにとってミュージアムの体験、そして「みる」が広がっていく機会となればと思います。ご来場をお待ちしています。