浜松科学館では、浜松市天文台と共同で毎月の星空をお届けする1枚冊子「星空案内」を発行しています。本ブログで、その内容を一部公開いたします。
爽やかな風が吹く5月の浜松。和名の「皐月」は田植えの月を意味し、地上では季節が着実に進んでいます。夜更けの空には「こと座のベガ」が姿を現すようになり、少しずつ夏の気配も感じられます。ゴールデンウィークは、浜松まつりも開催されますが、のんびりと夜空を見上げるのはいかがでしょうか。
(文:浜松市天文台)
浜松市天文台のWebサイト
5月の星空案内

北斗七星が見ごろを迎えています。北斗七星をプラネタリウムで紹介するとき、「北の空に見える、ひしゃくの形をした、七つの星」と表現することが多いです。ところが、小さなお子さまだと、そもそも「ひしゃく」が伝わらないこともあるようです。確かに、子どもたちがひしゃくを使う・目にする機会も多くはないですし、例え目にしていたとして「水をすくうあの道具」のことを「ひしゃく」と認識するチャンスはもっと少ないかもしれません。そのためプラネタリウムでも、「ひしゃく」だけではなく「大きなスプーン」とか「フライパン・お鍋」の形と表現することもあります。
最後にひしゃくを使ったのはいつだっけ?そんなことも考えながら春の星空をお楽しみください。
ちなみに筆者はお正月の初詣のとき、神社の手水舎で使ったような気がします。
しし座

春の訪れとともに、東の空から堂々と昇ってくるのが「しし座」です。この星座は、 紀元二世紀にギリシャの天文学者プトレマイオスが定めた48の星座の一つで、 黄道十二星座としてもおなじみです。 モデルとなったのは、 ギリシャ神話に登場する 「ネメアの森の人喰いライオン」 だといわれています。
神話によると、このライオンは刃物も通さないほど頑丈な皮を持っており、村人たちを震え上がらせていました。そこで立ち上がったのが、英雄ヘルクレスです。彼は弓矢も剣も効かないこの怪物を相手に、なんと素手で立ち向かい、三日三晩の大格闘の末についに退治しました。その後、ヘラクレスをひどく嫌っていた女神ヘラが、ライオンの勇敢な戦いぶりを称えて星空に上げ、星座にしたと言われています。
しし座を見つける一番の目印は、ライオンの頭から胸にかけて並ぶ「ししの大鎌」と呼ばれる星の並びです。鏡文字の「?」の形に見えるこの並びは、西洋で使う草刈り鎌に似ていたため、この名前で親しまれてきました。
その大鎌の末端で白く鋭く輝くのが、一等星の「レグルス」です。ラテン語で「小さい王」という意味を持つこの星は、まさにライオンの心臓の位置にあり、王者の風格を漂わせています。しし座が南の空に高くかかる頃、地上ではいよいよ本格的な春がやってきます。レグルスを筆頭に、力強く輝く星たちを結んで、夜空にどっしりと横たわるライオンの姿を描いてみてください。
参考図書:全天星座百科 (藤井旭著/河出書房新社)、5文字で星座と神話(すとうけんたろう著・イラスト、左巻健男監修/講談社)
浜松科学館プラネタリウムの40年
浜松科学館は今年の5月1日に40周年をむかえます。ということで当館のプラネタリウムの40年間を振り返ってみましょう。

当館の初代プラネタリウム投映機は「インフィニウム21D型」という投映機です。科学館が開館した昭和61年から平成17年までの間、きれいな星空を投映してくれていました。投映できる星の数は1万5千個。開館当時の最新式コンピュータ、三菱電機MULTI16-Ⅱでプログラムを組んで8インチフロッピーディスクに書き込み、それをプラネタリウムの制御盤に差し込むことで機器類をプログラム通りに動かすことができました。星空以外の画像の投映はスライド投映機が主だったので、番組はほぼ静止画のみ。紙芝居のように、絵などが一枚ずつ切り替わっていく投映方法でした。ところで、スライドもフロッピーもご存じない方が多いかもしれませんね。スライドは印刷した写真のようなもの、フロッピーはメモリーカードのようなものだと思ってください。

その後、2代目のプラネタリウムへと機器更新されました。現実の星の見た目に近いシャープな光で26万5千個の星を投映できる「インフィニウムS」、6台のプロジェクタを制御してドーム全体に4k画質の映像を投映できるデジタル式プラネタリウム「SkyMaxDSシステム」、これらを合わせて「ジェミニスターⅢ」と呼びます。このジェミニスターⅢを設置したのは、浜松科学館が全国初でした。この頃から、投映素材や制御をデジタル化したり、プラネタリウムドーム全体に動画を投映できたりするシステムが、全国的にもだんだんと主流になってきます。デジタル化が進んだことで、過去未来の星空や、地球以外の惑星から見た星空なども表現できるようになりました。

しかしジェミニスターⅢも更新から15年以上が過ぎ、だいぶ疲れがたまってきてしまいました。そこで、2022年に三代目となる光学式プラネタリウム「ケイロンⅢ」と新しいデジタルプラネタリウムシステム「バーチャリウムⅡR7」が同時に導入されました。ケイロンⅢではおよそ1億個の星を映し出すことができ、星の瞬きも再現することができます。ケイロンⅢが映し出す満天の星は思わず息を吞んでしまうほどの、圧巻の美しさです。
このように、40年間でプラネタリウムの機械も、投映の方法も大きく進化しました。プラネタリウムだけでなく、浜松科学館は今後もどんどん進化を続けていきますので、これからもたくさん遊びに来てくださいね。

ブログ版おまけ;投影機の画像をパラパラ漫画のようにしてみました。投影機を囲む枠部分の大きさを合わせて画像が切り替わります。こうしてみると、世代を経て投影機の大きさがどんどんコンパクトになっていく様子がよくわかりますね!
浜松科学館で投映中の番組
4月1日からはプラネタリウムの投影スケジュールが変更になりました。
ご好評いただいているキッズプラネタリウムや「天竜浜名湖鉄道 星空紀行」など、
浜松科学館名物でもある生解説プラネタリウムの回数を大幅に増やしました!
満天の星々が皆さまをお待ちしています!

【土日祝日と春季・GW等 11:30~, 14:20~】
キッズプラネタリウム
「きらきら☆こんやのおほしさま~はるのほし~」

【平日 14:20~】&
【土日祝日と春季・GW等 13:00~, 15:40~】
プラネタリウム
「天竜浜名湖鉄道 星空紀行」