手作りカメラで写真を撮ろう!

カメラと私たちの生活がより身近になったのは、1999年ごろ発売されたカメラ付き携帯電話の登場からではないでしょうか。その後、より高性能なカメラが搭載されたスマートフォンが普及し、誰でも質の高い写真や動画を撮ることができるようになりました。ブログやInstagram、TwitterなどのSNSコミュニティが生まれ、撮影した写真を発表する場もぐんと広がったことで、カメラは生活の一部と言っていいほど、私たちに浸透したのではないかと思います。

そんなカメラですが、歴史は古く紀元前にさかのぼります。小さな穴の空いた箱に景色が映る「ピンホールカメラ」がカメラの原点です。
はじめは景色を写すだけの装置でしたが、15世紀ごろにはレンズが、19世紀には感光材料を用いた「撮影」機能が備わり、フィルムに景色を焼き付けることができるようになりました。現在は撮影したものを電気信号に変換する「デジタルカメラ」が主流ですね。
8月最終日のイベントでは、そんな古い歴史をもつカメラを手作りで皆さんに作っていただきました。
講師をつとめるのは実験大好き「てんちゃん」。科学(特に物理系)が大好きなお兄さんです。

用意されたのは型紙、レンズ2種、マグネット、トレーシングペーパー。
今回はマグネットを使ってパーツを組み替えられるカスタム性の高いカメラをつくります。

はじめに、レンズを2種類つくっていただきました。大きな凸レンズの周りにボンドを塗って、穴のあいた黒い紙の上に貼り付けていただきました。その後、四隅にマグネットを貼っていただきます。

小さなレンズのついた板の四隅にも同様にマグネットを貼っていただきます。

レンズの次はスクリーン2種類の作成です。
トレーシングペーパーを四角い口の開いた板に貼り付けて、四隅にマグネットを貼り付けます。もう一つは感光紙のセット板として、3つの細い型紙を折り曲げ、紙にコの字形にボンドで貼っていただき、四隅にマグネットを貼ってもらいました。皆さん、黙々と真剣に作られていました!

2種類のスクリーンが完成したら、本体となる大きな型紙を2つ、線に沿って折り曲げてゆきます。箱型に組み上がりました。四隅の辺を黒テープで貼り合わせて止めてゆきます。光が入らないよう、角の部分は上から斜めにも貼ってしっかりと塞いでいただきました。

その後、四角い口のあいた箱の内側の四隅にマグネットを貼っていただきました。はじめに作成していただいた2種類のスクリーン板がくっつくように貼っていただきます。

だんだんとカメラの形が見えてきました!
今度は丸い穴の空いた方の箱に、レンズの取り付け部分をつくります。こちらもひし形にマグネットを貼っていただきます。

最後はレンズカバーの作成です。大きな凸レンズの筒の部分とレンズキャップの型紙それぞれにマグネットを貼り、ぴたりとくっつけていただきます。小さなレンズのカバーにもマグネットをつけてくっつけます。
スクリーン側の箱をレンズ側の箱の内側に差し込んで、カメラの完成です!

完成したカメラで、まず凸レンズにスクリーンを組み合わせて景色を投影してもらいました。本体を出し引きしながらピントを合わせると、逆さまの像がスクリーンに浮かんできます!小さなレンズに変えて、再度ピントを合わせて見ていただいたりもしました。

ピンホールのしくみを体感いただけたところで、いよいよ写真の撮影です。
感光紙を皆さんに配布し、台紙にセットしていただきました。ピントの合った状態に本体を調整していただき、1階の「サイエンスライブラリー」の日の当たる位置に自分のカメラを置いてもらいました。
焼き付けが行われるまで30分間、そのままにしておきます。

焼き付けの間、ラボに戻っててんちゃん作成の大型ピンホールカメラを皆さんに体験いただきました。箱の隙間からスクリーンをみていただくと、景色が映ります。みなさん驚きながら箱をのぞいていました。

カメラに必要なものは「レンズ」「スクリーン」「箱」と説明するてんちゃん。例えば、部屋を大きな「箱」ととらえて、虫眼鏡(=レンズ)で光を1点に集めると、レンズの先の壁面など(スクリーン)に景色が投影され、これも「カメラ」であると説明することができるのです。意外と簡単なしくみからできていることが分かりますね。

30分後、カメラを持ち帰り、現像を開始します。
現像液を綿棒につけ、感光紙の全体に塗りつけてゆきます。

実はこの日は曇り空で、うまく写真が映るか不安だったてんちゃん…。

しかし、撮影のタイミングに合わせたかのように晴れ間が差して、皆さんとても綺麗な写真を写すことに成功していました!奇跡を体感した出来事でした(笑)。

少し手間がかかりますが、独特の味わいが出るピンホールカメラ。アート作品として、あえてピンホールカメラを使用して風合いのある写真を撮っている方もいます。
ぜひ今回のカメラで、皆さんもいろいろなものを撮影してみてください!


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