わたしにとっての文具【切る+貼る】:切り絵作家・マスダカルシさん

浜松科学館 春の企画展「わたしにとっての文具展」。
「書く・描く」「画く+測る」「切る+貼る」「刷る」「綴じる」「彩る」の動作に分けて文具を紹介しています。合わせて、それぞれの項目で、浜松周辺で活動されているクリエイターの方々をたずね、使用されている文具や道具について伺いました。

今回は「切る+貼る」…切り絵作家・マスダカルシ氏です。

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新聞を主な素材にユーモラスな切り絵を生み出す作家、マスダカルシさん。切り絵によるイラスト制作に始まり、講師としてワークショップなどの教室開催、自身が絵と文を手がけた絵本を制作するなど、多方面で活躍している。

「新聞のスポーツ欄に野球選手が載っていて、ズボンの形がワニに見えたんですよね。それでちょっと切ってみようかなって。」
切り絵を始めたのは小学生の時。遊びの延長として始めた切り絵だったが、作品を見たご家族に背中を押され、作家としてのキャリアをスタートした。

作品を作るとき、下絵は描かないことが多い。「割と瞬時に形が見えるというか…うまく言葉で説明するのが難しいんですけど、写真の中に形を見つけるんです。」と言ってハサミを持ったマスダさん。「私はこの写真を見ると馬に見えるんですよ。」と、その日の朝刊1面の茶色いジャケットを着た男性の写真を指差した。馬はどこにも載っていない。
シャキシャキと小気味良い音を立てて迷いなく切っていく。数秒後、茶色いジャケットから見出された馬が出来上がった。写真を見るときには、色というより、物と物の継ぎ目や服の皺などの「形」に着目しているそう。浜松科学館の広報誌でも何か作れないかとお願いしてみたところ、あっという間に可愛らしい女の子と不思議な生き物が誕生した。

あれ、新聞ってこんなにカラフルだったかな?作品を見て感じることは多い。
マスダさんに見出され、ハサミによって形を与えられた不思議な生き物たち。眺めていると、ふと笑みがこぼれるのは何故だろう。

  • 愛用のハサミは、紙を切る専用バサミ。ハサミ専門店で購入。刃にカーブがあると細部や曲線が切りやすい。
  • ヤマト株式会社の「和紙糊」。液状のりの定番「アラビックヤマト」が同社の看板商品だ。なめらかで紙がシワになりにくく、乾きやすいのでベタつかない。
  • 細かいパーツの貼り付けには爪楊枝を使用。日本で流通しているお馴染みのもの(写真右)と、韓国で見つけた極細の竹爪楊枝(写真左)を、のりをつける箇所によって使い分ける。

マスダ カルシ

新聞紙からうまれたイキモノの世界。イラストレーションをはじめ、絵本、ワークショップ、講師など幅広く活動。静岡新聞「YOMOっと静岡」新聞アートコーナー担当。静岡県藤枝市出身。
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撮影・取材 黒川夏希(Wishker Design)

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