今月の星空(2023年3月)

こんにちは。浜松科学館天文チームです。
暖かな日が増え、春の訪れを感じる季節です。
3月の星空案内をお届けします。

3月の星空案内:冬の星座もそろそろお別れ

3月の星空

2023年3月 上旬:21時ごろ 中旬:20時ごろ 下旬:19時ごろ
惑星の位置は中旬ごろを目安にしています

3月といえば「別れの季節」ですね。学校を卒業して新しい道に向かって進み出す方も多いと思います。
夜空の星たちも、そろそろ冬の星座に別れを告げようとしています。冬に見られる星に比べて春に見られる星は暗い星が多いので、街中からは見つけにくくなります。今のうちに明るい冬の星たちをご覧ください。

今月の星座:こいぬ座

こいぬ座
【出典】88星座図鑑

冬の大三角形を構成する恒星の1つ「プロキオン」が「こいぬ座」を見つける目印となります。星座の中で最もシンプルな星の結び方で、1本の棒線だけで「こいぬ」だとされています。昔の人の想像力には感心しますが、個人的には全く「こいぬ」には見えません。
オリオンの猟犬だったという話の他に、アクタイオンという猟師の猟犬だったという話もあります。アクタイオンが森の中で猟犬たちとともに狩りをしていました。その時、森の泉で水浴びをしている女神アルテミスを見てしまいます。怒ったアルテミスはアクタイオンを鹿に変えてしまいました。猟犬たちは、やってきた鹿がアクタイオンだとわからずに噛み殺してしまいます。戻ることがない主人を待ち続けている犬が「こいぬ座」だと言われています。
ちなみにプロキオンと線で結ばれている星の名前は「ゴメイサ」。涙ぐんでいるものという意味があります。まるで、帰らぬ主人を待ちわびて涙ぐんでいるようですね。
(文:浜松科学館 天文チーム)

3月と火星の意外な関係

3月は英語でMarch(マーチ)といいます。3月の「March」は、ローマ神話の「マルス(Mars)の月」を意味する「Martius」というラテン語に由来します。マルスはローマ神話の神様の名前で、戦と農耕の神とされています。ギリシャ神話に登場するアレスと同一視されています。

そして火星は英語でMars(マーズ)といいますが、これは軍神マルスの名前から名付けられました。つまり、3月と火星は同じ神様の名前をとって名付けられているのです。

フランス「ポルト ドゥ パリ」に建つマルス像

3月は暖かくなって農耕がはじまる月です。暖かくなると雪が溶けて戦争を起こしやすくなる月でもあったため、3月がマルスの月となったという説があります。
また、火星の惑星記号は♂ですが、マルスの盾、あるいは盾と槍を模したものだとされています。ちなみに♂は生物のオスを表すためにも使われますが、メスの記号は♀で金星の惑星記号でもあります。元々は惑星記号として使っていた記号を、1753年にリンネという植物学者が生物の性を表す記号として採用しました。

現在、火星はどんどん地球から離れているため、地球に近づいていた昨年の12月頃と比べてかなり暗くなっていますが、今月も見ることができます。ぜひ、マルスの月である3月に火星をご覧になってください。

火星が赤いのは表面の砂が赤くさびているため。太陽の光が反射して燃える炎のように赤く光って見えます。

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