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表紙の1枚

表紙の1枚(vol.33):「なぜ?」を引き出すサイエンスショー

COMPASS_vol33_表紙

浜松科学館ニュースレター「COMPASS」。
第33号の表紙は、浜松科学館2階中央の〈みらいーらステージ〉で「風のサイエンスショー」を開催する天井さんです。

毎日4回は凄すぎる?

浜松科学館のサイエンスショーが始まったのは2019年。全館リニューアルで〈みらいーらステージ〉が誕生したことをきっかけにスタートしました。浜松科学館の自慢は、毎日4回開催するステージ数の多さと、飛ぶ・液体窒素・シャボン玉・磁石など、10のテーマで科学のおもしろさを体感できる多彩なプログラム。地方都市の科学館のサイエンスショーで、これほどまでに力を入れている施設というのは、じつはとても珍しいのです。
 
このサイエンスショーを担当するのは、浜松科学館のサイエンスチームの6名とチーフエディケーター1名の計7名。日替わりのプログラムで、7名それぞれのキャラクターを生かし、工夫を凝らした実験を行います。

サイエンスショー_三島さん
サイエンスショー_小栗さん
サイエンスショー上野さん
サイエンスショー水谷さん
サイエンスショー天井さん

「揚力」の発生原理を直感で理解する「風のサイエンスショー」

「てんちゃん」のニックネームで子どもたちから慕われる天井(あまい)さんは、サイエンスチームの副リーダー。表紙の撮影が行われた6月13日は、風をテーマにボールやペットボトルなど身近な物を使って、ブロワーの風で物を浮かせられるかを実験しました。
 
宙に浮かぶカップ麺やアンパンマンのボール、クルクル回転しながら浮かぶ風船。子どもたちの楽しそうな歓声で沸いた「風のサイエンスショー」でしたが、実験自体は飛行機が空を飛ぶために必要な「揚力」の発生原理について理解を深めるという高度な内容です。

『 揚力とは、空気や水などの流体中を運動する物体に対して、その運動方向に垂直で上向きに作用する力のこと』

実際のところ、この文章を大人が読んでみても、理解できる人は少ないのではないでしょうか。そこを子どもたちが楽しみながら直感的に理解を深めるショーに仕立てるのがスタッフの腕の見せ所です。何事にも研究熱心な天井さんは、物理学を専門としながら、ステージ演出の研究にも余念がありません。大道芸ワールドカップを見て演出の参考にするほどの天井さんに、サイエンスショーへのこだわりや想いについてお話をききました。

子どもたちの心を動かす楽しい演出

天井さん「浜松科学館のサイエンスショーは、いろいろなテーマの実験を通して、科学を『楽しい』『おもしろい』と思うきっかけをつくると同時に、テーマに沿った内容の理解を引き出す構成を考えています。この『楽しい』『おもしろい』と思うことがとても大切で、その気持ちが科学への興味につながると思っています。そのため、サイエンスショーでは学校の理科の実験と違い、楽しい話術やコミカルな動きを取り入れて、エンターテインメントとして楽しめる雰囲気づくりを心がけています。そうした演出を考える上で、大道芸の方たちの、人を巻き込むスキルや『場』をつくるスキルは、とても参考になります」
 
天井さん「今日のショーでも、身近な物を使った実験から、飛行機の翼の実験に移る時の少し間(ま)がありました。この間(ま)の取り方でお客さんの集中力が切れて、小さい子が席を離れてしまうこともあります。最後まで飽きさせないために、ショー全体の流れや、場のつくり方を日々試行錯誤しています」

科学的現象の凄さを見せるために

天井さん「プログラムによっては、客席まで降りて観客が実験に参加するといった演出をすることもあります。一見すると大道芸そのもののように見えますが、こうした演出には、サイエンスショーならではの理由があります」
 
天井さん「コマ(独楽)を使った『回転』の現象がテーマのプログラムでは、ほとんど大道芸みたいなことをやってみせますが、大道芸との違いは、科学的現象の凄さを見せるショーであって、コマを回す私のテクニックを見せるショーではないということです。そこを理解してもらうために、子どもたちにもやってもらい、私が凄いわけではなく、科学的現象が凄いのだということを理解してもらいます」

サイエンスショーと子どもたち

子どもたちの「なぜ?」を引き出す仕掛けを考える

学校の授業でもなく、大道芸でもない。サイエンスショーにしかできない方法で、子どもたちの探究心に火をつけ「科学の芽」を育てようとする天井さん。ご自身は、サイエンスショーを観に来た子どもたちに、どのような反応を期待しているのでしょうか?
 
天井さん「今日のショーで良かったのは、ペットボトルが浮かばなかった時です。通常はこちらから『どうしたら浮かぶかな』と観客に問いを投げかける場面ですが、今日はこちらが問いを投げかける前に、観客から『蓋を取ったらどうなるの?』と質問が来ました。観客から質問が来たということは、観客本人がそれを知りたい、学びたいということ。こうした問いが子どもたちから生まれる瞬間をとても大事にしています」
 
天井さん「さらに子どもたちから質問を引き出すために、実験に余白をつくるという工夫もしています。逆さにして風を当てたらどうなるのか、横向きにしたらどうなるのか。全てを見せてしまうのではなく、あえてやらないことで、観客から『逆さにしたらどうなるの?』という質問が来るのを待っています。それはサイエンスショーに限ったことではなく、浜松科学館で開催しているイベントやワークショップでも同じです。自分から『なぜ?』『どうして?』という問いを立てる仕掛けを考えて、科学のおもしろさを知ってもらいたいというのが、私の願いですね」

夏の特別展「体験型2択クイズ 答えはどっち?展」

7月18日から始まる夏の特別展「体験型2択クイズ 答えはどっち?展」も、まさに子どもたちの探究心に火をつける仕掛けがいっぱい。「クワガタはどっち?」「隕石はどっち?」「甘い液体はどっち?」と、見た目は同じ2つの物を自分の手を動かして違いを突きとめ、答えを見つける体験型2択クイズです。
 
「科学の探究」は、導き出した答えは一つでも、その違いを突き止めるための道のりは一つではありません。ネットで検索すればすぐに答えが見つかる時代だからこそ「自分で答えを見つける面白さ」をこの展覧会で体感してみてください。

夏の特別展2026_答えはどっち?展

浜松科学館 夏の特別展
「体験型2択クイズ 答えはどっち?展」

開催日:2026年7月18日(土)~8月31日(月)
開催時間:9:30~18:00(最終入場17:30)
※7月18日・19日は17:00閉場(最終入場16:30)
会場:浜松科学館 ホール
特別展入場料:300円(2歳以下無料)

夏の特別展「体験型2択クイズ 答えはどっち?展」