天文台からのコメント: 2025年注目の天文現象の1つに、土星の環の消失があります。3月24日は地球から土星を真横から見ることになり、土星の環が消えたように見えるタイミングでした。土星の環は数百メートルほどしか厚みがなく、その大きさのわりにとても薄いので環が消えたように見えるのです。この3月24日から5月7日までは「環の消失」期になります。夜明け前に望遠鏡で土星を見るのがちょっと難しい方は、11月までお待ちください。11月の土星は夜に見え、環がほぼ消失して見えそうです。天文台でもイベントを用意しています。
(文:浜松市天文台)
浜松市天文台のWebサイト
5月の星空案内
2025年5月 上旬:22時ごろ 中旬:21時ごろ 下旬:20時ごろ
2025年5月、新緑が目に鮮やかな季節ですね。夜空では春の星座が主役です。南の空高くには「おとめ座」のスピカや「うしかい座」のアークトゥルスといった明るい星が輝き、春の大三角や春の大曲線を見つけることができます。
宵の空では火星が比較的見やすい位置にいます。明け方には土星も昇ってきます。また、5月上旬(6日頃がピーク)には「みずがめ座η(エータ)流星群」が活動します。放射点が南の低空のため観察条件は最高ではありませんが、明け方に多くの流れ星が見られるチャンスです。
過ごしやすい気候の中、少し夜更かしして初夏の気配を感じる星空散歩を楽しんでみてはいかがでしょうか。
かみのけ座
紀元前のこと。エジプトの王エウエルゲテスにベレニケという妻がいました。大変美しい王妃で、特に琥珀色をしたその髪の美しさは国外にまでうわさが広がるほどでした。ある年のこと、エウエルゲテス王は、アッシリアと戦うため軍を率いて出陣しました。しかし、長い戦いの末、エジプト軍は敗れ、王は敵に捕まってしまいました。この知らせを聞いたベレニケは王の無事を祈るため女神アフロディテの神殿に行きました。そして「王に勝利をお与えください。無事戻ることができましたら、この私の毛髪をささげます。」と、誓ったのでした。ベレニケの祈りが通じたのかやがて、エウエルゲテス王はアッシリア軍から逃れ、エジプト軍を立て直しました。そして、見事に勝利を収めたのでした。王の率いる軍が勝利したとの報告を受け、ベレニケは約束通り美しい髪を切り、神殿にささげました。戦いから戻ったエウエルゲテスは、妻を見て大変驚きました。しかし、ベレニケが自分のために髪の毛を切り落としたことを知ると、改めて王妃の愛の深さに気付いたのです。不思議なことに神殿からベレニケの髪が消えたという知らせがもたらされました。王は天文学者を呼び、この理由をたずねると、「王妃の夫を思う気持ちと大変美しい髪に感動して、神が新しく星座として星空に加えたのです。」と答えました。先日まで夜空に何もなかった部分に、きらきらとまたたく星の群れがあらわれていました。これには二人も大変喜んだということです。
<参考> かならずみつかる星座の本 春(藤井旭;偕成社)
ドイツ、そして日本へ
みなさんは光学式プラネタリウム投影機がどこの国で誕生したのか知っていますか?日本にある投影機のほとんどが日本製ですが、日本で発明されたのではありません。光学式プラネタリウムは、今から約100年前に、ドイツのカール・ツァイス社によって発明され、世界に広がりました。
現在、日本にはドイツ製プラネタリウムが9台も存在します。全てツァイス社のもので、第二次世界大戦前・ドイツ東西分裂・ドイツ統一後、それぞれの時期の投影機です(表参照)。その中でも、明石市立天文科学館の投影機は、1995年の阪神淡路大震災の被害をまぬがれたものです。なんと今でも稼働し続け、今年65年を迎えます。ツァイス社が誇る、投影機で本物の星空を再現する技術は、ドイツが東西に分断された時代もそれぞれの統治下で磨かれ続け、現在のプラネタリウムにも受け継がれています。
プラネタリウムの技術や歴史については、5月24日(土)の100周年フィナーレイベントで詳しくお話します。全国のプラネタリウム館をオンラインで繋ぎ、リレー形式の投影も行います。ご興味ある方は、ぜひご参加ください☆
プラネタリウム100周年グランドフィナーレイベントについて詳しくはこちら↑
参加申し込み締め切りは5/15です!応募者多数の場合抽選となります。
浜松科学館で投映中の番組
4月からの新しいプログラムが始まりました!もう全部ご覧になりましたか?2回目3回目も大歓迎です!
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プラネタリウム
「春の星旅 南半球の星空へ」 -
プラネタリウム
「星空マルシェ」 -
キッズプラネタリウム
「きらきら☆こんやのおほしさま~はるのほし~」 -
大型映像
「ティラノサウルス」 -
大型映像
「ヒーリングアース inJAPAN」 -
【月1回・大人限定】
夜の科学館 特別投映
「星降る茶畑」