今月の星空(2024年3月)

浜松科学館では、浜松市天文台と共同で毎月の星空をお届けする1枚冊子「星空案内」を発行しています。本ブログで、その内容を一部公開いたします。

天文台からのコメント: 3月は卒業式のシーズンですね。卒業生のみなさん、ご卒業おめでとうございます。子供のころ、春休みは温かくなるし、宿題がないし、新年度へのワクワク感があって、一番好きな長期休みでした。星空も少しずつ春の星座が見られるようになってきています。今月15日(金)には、月が冬の星座である、おうし座のM45プレアデス星団(すばる)と接近します。7倍の双眼鏡で一緒に見えるようです。楽しみですね。
(文:浜松市天文台)
浜松市天文台のWebサイト

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3月の星空案内 春の星空と星座

2024年3月 上旬:21時ごろ 中旬:20時ごろ 下旬:19時ごろ

3月になりました。厳しい冬を乗り越えて、少しずつ暖かくなって春へと移り変わっていきます。星空でも冬の星座たちは西の空へと傾き、東の空からは春の星座が顔をのぞかせています。

明るい星が多くて賑やかな冬の星空と比べると、春の星空はやや控えめ。明るい星はそこまで多くありません。西の空と東の空で星空の雰囲気を比べてみると、その違いが感じられて面白いです。季節の移り変わりを感じながら、星空を眺めてみてはいかがでしょうか。

春の星座を探してみましょう。
南東の空、やや高いところに明るい星が見えます。しし座のレグルスです。レグルスから上に向かって、はてなマークをうらがえしたような形に星をつなげていくと、しし座の顔が出来上がります。ふたご座としし座の間には、かに座があります。しかし、かに座は暗い星ばかりで、街の中からだと見つけるのが難しい星座です。

おひつじ座の辺りに木星が見えます。来月には空の低い所に見えるようになって、探すのが難しくなっていきます。冬の星座より一足先に沈んでしまいますから、木星は3月がラストチャンスです。3月のうちに見つけてみましょう。

きりん座

きりん座

 北の空、北極星の近くにある星座です。かなり大きな範囲に広がっているのに、そこに星座があるの?というくらい、明るい星の少ない場所です。きりん座の主星であるα星は4.3等星、一番明るいβ星でも4.0等ですから、見つけにくいのは当然です。
北極星を見つけてみましょう。北極星と冬の星座「ぎょしゃ座」の間がきりん座です。北極星の近くに頭部があり、逆さまのかっこうで見えています。きりん座は、ケプラーの娘婿となり、33歳の若さでなくなったバルチウスが星図上で示したのが最初とされ、後に正式な設定者とされるヘベリウスの星図に受け継がれています。(もっと前に南天の星座作りに活躍したブランキウスの天球儀などにもそれらしい名前があることからブランキウスを設定者とすることもあります。)
バルチウスは、旧約聖書の創世記第25章に登場するユダヤ人の族長イサクが美しいリベカをめとったとき、リベカを乗せてきたラクダからヒントを得てこの星座を作ったと伝えられています。このため、19世紀には、星座名を「らくだ座」に変えたらどうかと提案した人もあったと言われています。しかし、実際にはバルチウスの星図にもヘベリウスの星図にもアフリカの草原に住む首の長いキリンの姿が描かれていて、最初からキリンのイメージを描いて設定されたと考えられます。
北極星をご覧になったことはありますでしょうか。浜松では高度35度くらいのところにあります。さて、一晩中、北の空を見ていたとすると、星は北極星を中心に時計と反対まわりにまわっているように見えます。浜松では、きりん座は北極星のすぐそばをぐるぐると回っており、1年中沈みません。年中沈まないのに知名度は少々低いのです。肉眼では確かに見つけるのが難しいですが、「ああ、あそこにきりん座があるんだな。」と北の空を眺めてみていただきたいです。

<参考> ・「全天星座百科」藤井旭著:河出書房新社

『花の名は』

星は空にあるものなので、手が届きません。しかし、近くにあっても手が届かないものもあるようです。

川の神レイリオペと水のニンフ(精霊)の子として生まれたナルキッソスは、容姿端麗で、うぬぼれが強く「自分の姿さえ見なければ、長生きができる」という奇妙な予言をされていました。愛と美の女神アフロディーテからの贈り物にすら喜ばず、これを恨んだアフロディーテは「彼を愛する人が現れても、彼を振り向かせることができない」という呪いをかけました。
そんな時、彼に恋心を抱いたのが精霊エコーでした。しかし、エコーは人が発した言葉しか話せませんでした。エコーは彼に思いを告げようとしますが、彼の言葉を繰り返すだけで、うまくいきません。ついにナルキッソスは「退屈だ」と言って、冷たくあしらってしまうのです。エコーは悲しみのあまり、声だけを残して“こだま”になりました。

ある時、ナルキッソスは水を飲もうとして泉に顔を近づけると、水面に美しい青年が映っていました。その青年が自分だとも気づかずに、一目惚れをしたナルキッソスは、そこから動けなくなってしまいます。来る日も来る日も、水面に映る自分の姿に口づけしようとしますが、顔を近づけるたびに波が立って姿が見えなくなってしまいます。そうするうちに、彼はだんだんと衰弱し、とうとう命を落としてしまいました。その場所には水仙の花が咲いたといわれ、水仙はナルキッソス(Narcissus)と呼ばれるようになりました。

▲カラヴァッジョが描いた水面をのぞき込むナルキッソス。
▲カラヴァッジョが描いた水面をのぞき込むナルキッソス。
▲水仙。花が下を向いて咲く姿が、美青年ナルキッソスの様子に似ている。
▲水仙。花が下を向いて咲く姿が、美青年ナルキッソスの様子に似ている。

水仙の花言葉は「うぬぼれ」「報われぬ恋」。ナルキッソスのように星もまた、手が届かないからこそ、美しいと感じるのかもしれませんね。

[参考]
『神々を知ればもっと面白い!ギリシャ神話の教科書』東ゆみこ(ナツメ社)

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