天文台からのコメント: 6月上旬から下旬ごろにかけ、しし座のレグルスと火星が接近し、17日ごろに再接近します。青白く輝くレグルスと赤っぽい火星の色の対比を楽しみたいと思います。しかし、6月は梅雨入りを迎えます。梅雨の晴れ間、雲の切れ間を期待して、この時期にしか見られない美しい星空を楽しみましょう。
(文:浜松市天文台)
浜松市天文台のWebサイト
6月の星空案内
2025年6月 上旬:22時ごろ 中旬:21時ごろ 下旬:20時ごろ
2025年6月、雨が降るたびに少しづつ暑さが増していく季節になりました。星空でも春の星座から夏の星座へバトンが渡っていきます。
さそり座の赤い星「アンタレス」の名前は「火星に対抗するもの」あるいは「火星に似たもの」といった意味のギリシャ語に由来するとされています。南の空のアンタレスと西の空の火星を見比べてみると、古代ギリシャ人の気持ちになれるかもしれません。
そんなふうに星を見るだけで何千年と時間を飛び越えて、古代の人の気分になれてしまうのが星の魅力の一つですね。
6月21日は二十四節気のひとつ「夏至」の日です。1年のうちで、太陽が出ている昼の時間がもっとも長くなる日です。地域によっては特別なものを食べる風習もあるようです。
かんむり座
半円形に並んだ星座は、世界各地でも注目されていたようで、冠のほかにも様々なイメージで見られていました。日本では「鬼の釜」や「太鼓星」など、様々な見方をされていたそうです。他の国の例を少し紹介すると、アラビアでは半分かけた皿という意味で「アルフェッカ」と呼ばれ、オーストラリアの先住民は「ブーメラン」と見ていました。
さて、皆さんは「かんむり」と聞くと、中世ヨーロッパの王冠を思い浮かべられるのではないでしょうか。今回紹介する「かんむり座」は、王女様に贈られたティアラが星座になったと伝えられています。アテネの王子テーセウスは、迷宮の牛の魔人ミノタウロスを退治しました。ミノタウロスを退治するときに助けを貸したのが、クレタ島の王女アリアドネです。テーセウスとアリアドネは互いを好きになり、結婚の約束をして、故郷に戻ることになりました。島で最後の日を過ごし、夜が明けたら船出となったころ、テーセウスの夢に女神が現れました。アテネ女神は「アリアドネを妻にすると災いが起こる。アリアドネを島に残し、船出せよ。」とテーセウスに告げたのです。それを聞いたテーセウスは、アリアドネが寝ている間に船出をしました。その後、目を覚ましたアリアドネは置き去りにされたことを知りました。アリアドネが悲しみに暮れる中やってきたのが、酒の神ディオニュソスです。アリアドネから事情を聞いたディオニュソスは、アリアドネを慰め、自分の妻に迎えることにしました。そのとき贈ったのが、7つの宝石を飾ったティアラです。二人は幸せな日々を送ったそうです。そんな二人を思いながら、星空を見上げてみてください。
<参考> 全天星座百科(藤井旭;川手書房新社)
星の光、ホタルの光
5月下旬から6月はホタルの時期です。今ではホタルを見られる場所は減ってきているようですが、実際に暗闇で明滅を繰り返す様子を見ると、夏の訪れと懐かしさを感じさせてくれます。そんなホタルの光はどれくらいの明るさなのでしょか。
一説によると、蛍の光は0.002カンデラとか、3ルクスという数値があります。ただし、ホタルと測定機の距離によって明るさが変わったり、ホタルの種類や発光パターンが複数あったりするため、確たる数値が残っていないのが現状です。ここで、ろうそく1本分の光の強さに由来する、カンデラという単位で見てみましょう。古い記録ではホタルの光の明るさは0.002カンデラという報告があります。ろうそく1本の明るさは1カンデラ、満月の明るさは0.25カンデラ、車のヘッドライトの明るさは6400カンデラ以上となっています。また、星の明るさは、1等星において、1カンデラのろうそくを1km離れたところで見た時とほぼ同じ明るさだそうです。ホタルの光の強さは、星の光から月の光の範囲で推移しているように考えられます。
ちなみにホタル(ゲンジボタル)の発光が活発になる時間帯は午後8時過ぎから午後9時半頃まで、月明かりや風がなく曇っていて生暖かい日が好条件といわれています。人間にとっては過ごしやすい条件ではありませんが、ホタルのための時間だと思って、鑑賞してみませんか?また、ホタルは暗い環境で光るため、街灯や車のライト、スマホの明かりがあるところでは活動が弱くなります。星の光も同じように、周囲の光が少ないところでよく見えます。「星がきれいに見える場所にはホタルがいる。」と言えますね。
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